シロアリのフェロモンについて2


道標フェロモンでエサの場所を知らせる


道標フェロモンを研究する人
道標フェロモン

アリが長い行列を作っているのを見たことがあるでしょうか?

 

エサを見つけた個体が、仲間にその場所を知らせるためにフェロモンを出します。するとアリの仲間達がそのフェロモンを辿ることにより、アリの行列ができるのです。

 

シロアリもこのようなフェロモンを出し仲間にエサの場所を知らせます。このフェロモンのことを道標フェロモンといいます。

 

(この道標フェロモンを辿って、シロアリ達は大群で木材を加害します。

対策を施さないと、その木材はスカスカの紙のようになるまで食べ尽くされます。

無防備の状態では、いつそのような被害にあうかわかりません。

心配な方はぜひシロアリ対策をしましょう。)

 

この道標フェロモンは揮発性は物質です。ですので時間がたつと薄くなって消えてしまいます。

 

エサを見つけた個体は、濃い道標フェロモンを分泌します。

その濃い道標フェロモンをたどって仲間がエサにたどり着きます。エサに辿り着いた仲間も道標フェロモンを分泌します。そうすることによって、フェロモンを上書きし、フェロモンが濃くなります。

多くの仲間がエサに向かって通る道は、次第にフェロモンが蓄積され濃度が濃くなります。

するとより多くの仲間がそのフェロモンを伝って繰り返し同じ道を通るようになります。

それに対して、遠回りや、間違った道のフェロモンは、仲間たちが通らなくなるので、フェロモンが揮発して蒸発してしまいます。

 

このように、アリたちは正しいフィードバックを得ながら一つの経路を集中して選ぶようになります。

道標フェロモンを出して仲間にエサの場所を知らせるシロアリ
道標フェロモンを出して仲間にエサの場所を知らせるシロアリ

この道標フェロモンのアルゴリズムを、人間社会に有効利用しようとする研究がされています。

ロボット開発や物流の分野、宇宙空間の衛星の軌道などに応用されています。

 

 

私たち人間の生活を豊かにする秘密が、下等生物と思われている昆虫たちの行動にまだまだ存在しています。そのことにいつも驚かされます。

仲間を守るために警報フェロモンを出す


警報フェロモンを分泌して仲間に危険を知らせるシロアリ
警報フェロモンを分泌して仲間に危険を知らせるシロアリ

私たち人間の社会は火事や地震、洪水や津波など重大な事態を察知すると、警報を鳴らして危険をみんなに知らせます。

これは昆虫の世界も一緒です。

社会性昆虫はその名の通り、集団で行動し、それぞれ役割分担をして生活しています。

シロアリもこの社会性昆虫です。

 

シロアリの場合、危険を察知した後、仲間に知らせるために警報フェロモンというものを体内から出します。

 

シロアリたちは蟻道というトンネル上の通路を張り巡らせ、そこを移動する際に通ります。

 

その蟻道を破壊されたシロアリたちは警報フェロモンを分泌し、仲間に危険を知らせます。

 

シロアリのコロニーの中には、兵蟻(兵隊アリ)がいます。外部からの侵入者に対しては、この兵蟻が対応します。しかしあまり強くはありません。

 

他にも、シロアリたちは警告音と考えられている音を出します。大顎を鳴らして「カタカタ

カタ」と”もののけ姫”に出てくるこだまが出すような音を出します。

シロアリが木材を食べるときは、木材の内側を食べることが多いです。そうすると、木材の内側が空洞になります。空洞になった木材の中でシロアリが警告音を出すと、小さな昆虫が発している音とは思えないほど、響きます。

私も駆除作業中に家屋の床下で何度か聞いたことがあります。

 


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