シロアリ達は階級社会。では駆除するためにはどのようなことが必要か?
シロアリという昆虫は社会性昆虫です。この社会性昆虫は役割を分担してそれぞれが違う働きをし、コロニーの維持と発展に貢献しています。シロアリたちはコロニーを形成する社会性昆虫へと進化することにより、単独性の昆虫に比べて寿命が格段に伸びました。
コロニーは階級に分かれていて、王と女王が繁殖階級です。この繁殖階級は、エサを取りに行ったり、外敵と戦ったりしません。この階級は、交尾をして卵をたくさん産んで、コロニーを大きくすることが仕事です。
産卵の効率を上げるために、シロアリの女王は複数います。複数いる女王は、創設女王が単為生殖で産んだ女王の分身(二次女王)です。
女王は自分の分身を産むことにより、長く自分の遺伝子を維持することができるのです。
なぜ、女王は自分の分身を産まなければならないのでしょうか?
まず、ヤマトシロアリの女王は、1日に卵を産む数は25個程度と言われています。分身を作ることにより、1日に産むことのできる卵の数を増やすことができます。
もう一つは、シロアリは創設王(コロニーのきっかけになったオス)の方が、女王よりもはるかに長生きだからです。
シロアリの女王は自分の分身を産むことにより、遺伝的に長生きすることができます。
ですので、親近交配を避け長期間コロニーを健全に保つことが可能なのです。
シロアリの女王は、分身を産むことができますが、シロアリの創設王は自分の分身を産むことができません。
ですので、シロアリの創設王が死んでしまうと、コロニーの中で近親交配が始まり、やがてコロニーは滅んでしまいます。
つまり、シロアリのコロニーは創設王の寿命に依存しているのです。
シロアリたちはコロニーを健全に保つために、他の行動もしています。
それは女王フェロモンを分泌することです。
女王フェロモを女王が分泌することにより、他の個体が繁殖することを抑制する効果があります。
このシロアリの女王フェロモンの成分を世界で初めて特定したのが、岡山大学の松浦健二氏です。
女王フェロモンを人工的に作り出すことによって、女王が死んだ後に人工フェロモンによって新しく女王になる行動を阻止できると考えられています。ですので、この人工女王フェロモンによって駆除後の残存個体によるコロニーの再建を阻止するなどの応用が将来的に期待できます。
シロアリのコロニーは数少ない繁殖階級がコロニー全体の存続に大きく関わっています。
ですのでシロアリ駆除をする際には、この繁殖階級を駆除することを目指さなくてはなりません。
そのためにはシロアリの特性を利用します。
シロアリの繁殖階級は自分たちでエサを取りに行きません。エサを取りに行くのは職蟻と呼ばれる働き蟻たちです。彼らがコロニーの中央部にいる王や女王にエサを運びます。
そして、シロアリは仲間同士でグルーミングと行動をします。グルーミングは殺菌作用のある分泌液でお互いの体を舐め合う行動です。この行動は仲間を病気や菌から守るために行う、極めて重要な行動です。
コロニーを駆除するためには、シロアリたちの行動を利用し、この職蟻たちに薬剤の成分を王や女王に運んで貰えばいいのではないか?という発想で、シロアリ用の薬剤は進歩しました。
まず、薬剤は遅効性の薬剤である必要があります。遅効性とはゆっくり時間をかけて効果を発揮することをいいます。
即効性の殺虫剤ですと、触れた瞬間から効果を発揮してしまします。駆除の対象がシロアリのような社会性昆虫ですと、即効性の殺虫剤はあまり向いていません。なぜなら、コロニーの中で代わりがいくらでもいる職蟻だけを、何匹も駆除してもコロニーは滅ばないからです。
ですので、コロニーの心臓部である繁殖階級に薬剤を届けるために遅効性の薬剤を使用することが重要になります。
そして、職蟻に薬剤の成分を運んでもらうには、薬剤にシロアリの嫌がる成分が含んでいてはいけません。昆虫たちは自分たちが嫌に思う成分には敏感です。薬剤に嫌いな成分が含まれていると、薬剤を避けて行動します。そうなってしまうと、せっかく散布した薬剤も無意味になってしまいます。
他にも、シロアリ駆除用のために薬剤は改良が繰り返されています。
有効成分の持続期間の長期化、薬剤の人体やペット、環境への安全性の向上などです。
シロアリ用の薬剤は、シロアリの階級社会という特性と、グルーミングという行動をうまく利用して、シロアリのコロニー全体を駆除するようにさまざまな改良が繰り返されています。
目的を理解して、シロアリ駆除をする事業者は使用する薬剤をしっかり選ばなければなりません。
シロアリ駆除をメインに害獣・害虫駆除の依頼を受け付けております。
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