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築20年の住宅の床下を点検

先日、新潟県五泉市の築20年の住宅の床下を点検しました。

20年間誰も床下に入ったことがないということで、クモの巣がいたるところにありましたが、シロアリが発生した形跡は何処にもありませんでした。

なぜ、シロアリが発生しなかったか?を考える前に、なぜシロアリ(ヤマトシロアリ)が発生するのか、考えてみましょう。

 

まず、一つ目。そもそもシロアリがいるところに家を建てたから。

最近では新築時に予防消毒することが当たり前になってきてますが、何も対策を取らないでいた場合、いつシロアリが発生してもおかしくありません。

 

二つ目。建てた家にシロアリがやってきたから。

羽アリになって他所から飛んで来るということは、あまり現実的ではありません。もちろん、可能性はゼロではありませんが、極めてひくいです。

ということは、地面の下を移動してやってきたと考えられます。しかし、イエシロアリとは違って、ヤマトシロアリの行動半径はそんなに広くはないと考えられていますから、これも大きな原因と考えるのは難しいです。

 

さて、この住宅ですが、10年近く前にコンクリート基礎のすぐそばに、植木鉢などをのせる木材を、直接地面の上に放置していたそうです。

そして、ゴールデンウイークの終わりごろ、その木材からシロアリの羽アリが発生したことがあるとのことでした。

つまり、建物の下の地面にはシロアリがいるということです。

この住宅を一つ目の「シロアリのいるところに家を建てた」場合というように考えられますが、では、なぜ羽アリの発生から10年近く経過しているのに、住宅の床下にはシロアリが発生しなかったのでしょうか?

 

一つ目に考えられる理由は、新築時に予防のため散布した薬剤がとても効果的だったから。と言っても、薬剤が20年間効果を持続するとは考えにくいです。

というのは、シロアリ防除薬剤というのは、様々な問題や条件をクリアーしてきて、現在の自然に分解される薬剤に変わってきたからです。

シロアリ防除工事の決まり文句の「5年保証」というのも、薬剤の効果の目安がおよそ5年ぐらいだからなんですね。

 

二つ目は、床下に敷いた防湿シートが功を奏したから。

上の写真のとおり、湿気対策のためにビニールシートを敷きこんで、その上に結露対策で砂をしいてあります。

それに、この住宅は床下に通気口がたくさん確保されているので、風通しもよく非常に乾燥していました。

 

生き物は乾燥したところが好きではありません。というより、安定した湿度の場所を好みます。

つまり、シロアリやほかの生き物達が好むような床下の環境を改善し、維持することが、シロアリ対策につながっているんですね。

 

 

しかし、床下の環境を湿気の少ない乾燥した状態を保てば、シロアリが発生しないかというと、実はそうでもないのです。

カラッカラに乾燥した床下でもシロアリが発生した現場を何件も見てきました。

もちろん、湿気対策というのは、木材の成分を養分にする腐朽菌対策や、かび臭い環境を改善するためには、とても有効です。

つまり、床下の湿気対策は、シロアリ防除、腐朽菌対策という点では効果はあるが、絶対シロアリが発生しないかというと、そうではないのです。

 

湿気とシロアリの関係は我々駆除業者にとって、永遠のテーマかもしれません。